岩手県奥州市江刺は、北上川の東側に位置し、稲作に適した肥沃な大地が広がる地域。美味しい米の栽培に欠かせない気温の寒暖差が大きいなどの恵まれた自然条件に加えて、古来より粘土質の水田に有機質の完熟堆肥を施用してきたことで、土が本来持つ力を引き出しています。
全国的にも知られる「江刺金札米」は江刺全体で環境に配慮した特別栽培に取り組み、江刺管内の畜産農家に由来する牛糞堆肥を活用し、安心安全を大切にした米づくりに取り組みます。恵まれた自然環境と生産者の地道な努力により、米の食味ランキングで最高位の「特A」を多数取得していることは、生産者の高い意識の証明と、米作りに対する情熱を物語っています。
また「江刺りんご」も食味と品質にこだわります。樹を高くしない『わい化栽培』を取り入れ、あえて手間のかかる完全無袋生産を行っています。厳しい選果基準で判別された江刺りんごは、市場で高く評価され、生産者の力の源になっています。
JA江刺では、「食」と「農」を次世代へつなぐため、生産者の方々のご協力のもと、江刺区内小学校の学童農園の指導支援や、都市部の小学校での食農教育などを展開しています。学童農園では、田植えから稲刈り・収穫までを生産者やJA職員が指導し、次世代を担う子供たちへお米が出来るまでの苦労や、収穫の喜びを伝えています。
また、都市部の子どもたちへの食農教育として、東京都杉並区の小学生との交流を10年以上続けており、稲の栽培や餅つきなどの体験学習を行っています。JA江刺では今後も未来を担う子供たちへ「生きる力」をつなぐお手伝いを行ってまいります。
近年、田舎暮らしを希望する方から就農に関するお問い合わせが増えています。農業従事者の高齢化などで農家が減少している江刺管内では、UターンやIターン希望者を将来の農業の担い手ととらえ、支援体制を強化しています。JA江刺では奥州市と連携し、「家と土地(農地)」などの移住環境整備に対する支援や、新規就農希望者に対する栽培研修などを強化しています。
JA江刺では、農産物の安全性を守るために、農業生産活動の生産工程の透明性が担保されることが重要と考え、農業生産工程管理(GAP)確認制度に基づく確認登録の取得を各農産物で目指しています。2017年4月には、野菜部会青年部の3名がGAP認証取得に向けたプロジェクトチームを設立して取り組み、その成果が認められ、GAP取得を受けております。
米作りにおいても、一部品種で岩手県版GAPを取得するなど、着実にGAPに取り組む仲間の輪が広がっています。
JA江刺では外国人技能実習生の受け入れを平成19年度から継続して展開しています。農業技術の習得だけでなく、日本語や日本文化の学習などを研修メニューに取り入れ、研修後は江刺管内の農家のもとで技能実習を行っております。
帰国後、実習生が母国で活躍することで、食糧事情の向上や環境保全につながると考えます。