
太陽の光と愛情をたっぷりと
注がれた江刺りんご。
シャキシャキ感がたまらないおいしさです。
平地、中山間、山間地帯と、標高差に応じて色づきや食味の異なるりんごが育ちます。寒暖差もあり、それぞれ個性のある多彩なりんごを楽しめます。
江刺りんごの特徴は糖度が高いこと。それは手の掛け方に秘密があります。『花摘み』のあと、『摘果』、『葉摘み』、『実回し』という過程を2〜3回繰り返します。手間のおかげでりんごが甘くおいしくなるんです。
収穫をギリギリまで遅らせた完熟の「サンふじ」は蜜が豊富で逸品。江刺オリジナルの「紅ロマン」は8月に収穫する極早生種でシャキシャキ感が特徴です。
「江刺りんご」というブランドが全国に知られるようになった現在ですが、それは、我々が常に団結すること、そして発展し続けることを目指してやってきたからだと思っています。りんごは毎年違う、同じように見えても腕で差が出る。だからこそ面白い。どこまで伸びていくのか、私は常にワクワクして取り組んできました。「江刺りんご」の未来のために、今あるものに決して満足はしません。常に発展し続け、旬の「江刺りんご」を届け続けたいと思っています。
品種も技術も日進月歩ですから、常に勉強です。私は何より適期作業に努めています。技術があっても、これを徹底しないといいものはできません。江刺りんごは完熟した一番おいしいところを提供できることが魅力です。「食べておいしいりんご」に惚れ込んで挑み続けてきたからこそ、おいしいりんごを作り続けることにこだわりがあります。江刺は小さい産地ですが、大事に守り育てていきたい。そのためには夢や希望を持ち、挑み続け、食べてくれる方たちのためにこれからも発展し続けたいと思っています。
私のりんご作りの大前提は「いいものを作る」ことです。花が咲き、収穫にいたるまで、何一つ手を抜くことはできません。特にジョナゴールドを収穫するとき、あの鮮紅色のりんごがパワーをくれる気がして、私はたまらなく幸せです。それと同時に、生産者が一体となって歩んできたこれまでの道のりを思います。かつて若者が無謀とも言える夢に挑んでから約40年が経ち、「江刺りんご」は全国に広がりました。「産地江刺」として一体となって走り続けることは、私たち生産者の使命だと思っています。
江刺りんごの栽培工程には、一年を通じて
太陽の恵みをたくさん取り込むための
工夫がなされています。
江刺りんごがおいしく育つまでの
秘密を紹介します。
剪定はりんごの品質が決まる最も重要な作業です。樹木全体に太陽の光が行き渡るようにノコギリや剪定バサミを使って、余分な枝を取り除きます。また、土からの養分も樹木に均一に吸収され、りんごの木自体が健康に育ちます。葉が茂った状態を想像して行う熟練を要する作業です。
花が咲く前の4月ごろ、昨年の木の健康状態を把握したうえで、1本ごとに樹勢に合わせて肥料を与えます。5月上旬には、ミツバチやマメコバチを園地に放して受粉を行います。自然交配が難しい畑では、人工的※に授粉させる作業を行います。※人工受粉には、①耳かきのように毛のついた棒で、一つ一つ人の手で花粉を付けていく方法と②花粉に量を増やす粉を混ぜて機械で飛ばす方法があります。
果実になってから摘み取るよりはつぼみや花の時点で不要なものを摘み取った方が、果実品質向上や樹勢を維持するための効果があります。また、摘花を行っておくとその後の作業も楽になります。 人の手による摘花のほかに、開花量が多く開花中の好天による結実が十分と見込まれるときは薬剤による摘花を実施することがあります。
りんごの実を大きく・品質をよくするために果実の小さい時期に間引いて数を少なくします。江刺りんごでは、摘果作業で95%間引いて一本の樹から収穫するのは200個程度としています。これは、日照時間や樹が作り出す養分を残された5%のりんごに十分に与えられるようにするための工夫です。また、摘果を行うことで樹が疲れにくくなり、翌年も安定した生育が期待できます。
葉摘みはりんごの果実に太陽の光がしっかりあたるように葉を摘む作業です。江刺りんごは糖度を上げる工夫として果実に袋をかけない無袋栽培を行っていますので、できるだけ果実が日陰にならない様に手間をかけて葉を摘んでいます。玉回し作業も同じ目的で、果実の陰の部分に日があたるように果実を回転させてまんべんなく果実に日光があたるよう手間をかけています。
江刺りんごは「わい化栽培」といって、樹の高さを低く抑えて仕立てています。これは、果実がしっかり日光を浴びるための方法ですが、作業がしやすい利点もあります。収穫作業では果実の成熟度を判断しやすく、りんごの一番おいしい時期を逃さず収穫できます。江刺りんごはすべての園地でこの「わい化栽培」を取り入れています。
色や形、糖度、酸味、蜜入りなど
厳しい選果基準をクリアしたりんごだけが
「江刺りんご」として市場へ出荷されます。
最初に、熟練した職員が目視でりんごの状態を見極め等級を決めます。その後透過光方式センサーで「りんごの糖度、熟度、酸度、蜜の入り具合、果実の異常」などをりんごに触れることなく判別します。更に外観判定装置によって色あいや大きさを測定し、人の目による選果のばらつきを抑えます。
江刺りんごでは、生産者ごとに出荷されたりんごの品質をランク付けし、品評会で的確に評価しています。競い評価されることで、生産者の栽培意欲や栽培技術が向上し、結果的に江刺りんご全体の品質向上につながっています。
サンふじは毎年11月ごろに岩手県の盛岡市中央卸売市場などで初競りが行われます。2019年産の江刺りんご「サンふじ」では、トップランク「特撰」の一箱28玉入がなんと過去最高値の一箱140万円で落札されています。一箱に28玉ですから、一玉当たり約50,000円のりんごということになります。このため、会場にいると、熱気と期待が感じられます。
市場へ出荷する江刺りんごは品質の証である「黄色い箱」で出荷します。手間を惜しまない栽培や厳しい選別基準をクリアした本当の江刺りんごだけが、その証である黄色い専用箱で市場に流通するのです。
太陽の恵みをいっぱい受けて
美味しく育った江刺りんごは
そのまま食べても、ジュースで飲んでも、
ワインで味わっても
特別な美味しさです。